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ピンボール台は大体奥行き130cm、巾55cm、高さ60cmの木製の箱の中に色々なパーツや電球が納められた機械です。足の部分を入れると全体の高さは190cmほどもあります。プレイフィールド(ボールが転がる盤面)の位置は床から90cmほどで、大人の男性なら腰くらいの位置になります。 中に設置されているバンパーやランプなどの様々なターゲットや、美しい絵が印刷されているプレイフィールドを上から覗きこむような形でプレイするのですが、台の上面にはガラスが入っており、プレイフィールドやボールに直接触れることはできません。 プレイヤーはフリッパーで打ち出した直径3cm弱の鉄のボールをターゲットに当てたりホールに入れたりレーンを通したりして役(フィーチャー)を揃え、得点を競います。 沢山のライトは役に応じて点滅し、バーなどの薄暗い室内で色とりどりのパーツがきらびやかに光る様子はまるでクリスマスの箱庭のように見えます。写真はリトルウイングの事務所にあるBally社の名機「アダムスファミリー」です。
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当初はギャンブルマシンとしての性格が強いゲームでしたが、フリッパーなどの発明によりスキルを競うゲームへと転換を果たして今日の姿となっています。 日本ではボーリングの設備を輸入していた商社がピンボールも扱っていたことから、1960年代のボーリングブームに乗って全国に広まりました。子供の頃にボーリング場で見かけた方も多いと思います。その後デパートの屋上や宿泊施設のゲームコーナーにも沢山導入され、人気ゲームになりました。
ピンボールは小さい子供にとって何とも魅力的なマシンでした。踏み台に乗らなければ中が見えない巨大なマシンはハイテクメカの塊。美しく明滅するライト、火花を飛ばすソレノイド、ポップなグラフィック。しかしゲームとして楽しむためには大きな障害がありました。 台が重すぎてナッジング("テクニック編"で解説しています)というピンボールにとって重要なテクニックが使えないのです。当然ボールはすぐに落ちてしまいます。でも私はピンボールに触れているだけで幸せな気分でした。友達が遊んでいるのを横から見ているだけでも充分楽しかったほどです。
しかし台が揺らせるくらいに体が大きくなると、ピンボールは子供のためではなく大人のために作られたゲームであること、多彩なテクニックが存在すること、本気で遊べば汗をかくこと、上手い奴には度肝を抜かれることなどを知り、ピンボールの本来の魅力に惹かれていきました。ただボールが転がるのを眺めているだけでも楽しい、極めても楽しい、それがピンボールの魅力なのです。最近ピンボールを知った方も、子供の頃に少し遊んだ方も、以前かなり入れ込んでいた方も、ピンボールで遊んでみませんか! --- Yoshikatsu Fujita, LittleWing Co. Ltd.
こぼれ話:ピンボールメーカーに一番多く寄せられる質問はボールの直径だそうです。これは正確には17/16インチです。
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ピンボール台にはずいぶん色々なものが詰まっています。それぞれの名称と役割を簡単に説明しましょう。 プレイフィールド 一般には木製で、ゲーム画面がシルクスクリーンでカラー印刷されています。近年はマイラーでコーティングされたりしていますが、昔はコーティングがありませんでした。 ライトは穴に嵌め込まれたプラスティックの透明版がプレイフィールドの下から電球で照らされて光ります。 |
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フリッパー プラスティックで出来ており、ボールが当たる高さには周囲にぐるりとゴムが巻かれています。これを電磁石のコイルで動かしてボールを弾きます。鉄の重いボールがゴムに当たる感触はとても心地良いものです。メーカーによって先端が尖っていたり、丸みを帯びていたりそれぞれ特徴があります。 フリッパーボタン 実機ではキャビネットの左右手前にフリッパーを動かすためのボタンが付いています。リトルウイングのピンボールでは、デフォルト設定ではスラッシュとZキーになっています。 |
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プランジャー ボールをプレイフィールドに打ち出すための装置です。先端にゴムがついた金属の棒(プランジャー)を引っぱり、バネの力でボールがプレイフィールドに打ち出される仕組みです。実機では手動ではなく、ガンやボタンでボールを打ち出すものもあります。リトルウイングのピンボールでは、デフォルト設定ではエンターキー(リターンキー)になっています。 スリングショット フリッパーのすぐ上の部分、プレイフィールドの下方左右にある3角形の装置です。長辺中央のバーにボールが当たると、このバーがコイルの力で動いてボールを弾きます。 |
アウトホール カバーに隠れていて直接見る事はできませんが、フリッパーの間をすり抜けたり、アウトレーンを通って落ちたボールが入る所です。アウトホールにボールが落ちることをボールデッドと呼びます。
リターンレーン プレイフィールド左右にある幾つかのレーンのうち、転がってきたボールがフリッパーで受け止められるレーンをリターンレーンと呼びます。多くの台でこのレーンにライトが点いている時にボールを通したり、すべてのライトを揃えたりすることによって役が揃います。点灯しているライトはフリッパーボタンを押すごとに移動しますので、どのリターンレーンにボールが入るか見極めた瞬間にフリッパーボタンを必要回数押してライトを移動させると、役を早く揃えることができます。
アウトレーン リターンレーンの外側のレーンです。ここをボールが通るとアウトホールに落ちてボールデッドとなります。台によっては落ちたボールをプレイフィールドに打ち返すキックバックという装置が付いている事もあります。
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ポスト 鉄またはプラスティック製のバーにゴムが巻いてある柱の総称でいろいろな形態があります。スリングショットやフィールド各所のカバーを支えたり、要所要所でボールのターゲットやフリッパーへの当たり具合をコントロールしていたりする縁の下の力持ち的存在です。 |
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ライト プレイフィールドに嵌め込まれたプラスティックの板を下から電球で照らして光らせます。円形、三角形、四角形など様々な形や色をしています。一般的には、役が揃うチャンスのあるターゲットの側にあるライトは点滅し、揃った役を示すライトは点灯します。通すべきコースを示すために流れるように点滅することもあります。 |
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キックアウトホール ここにボールが入ると自動的にボールが設定された方向へ打ち出されます。プレイフィールドに見えている事もあり、見えない場所に隠されている場合もあります。ここに入ったボールをロックして、マルチボールなどの役に使われることもあります。 |
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ドロップターゲット プラスティックの板が1枚または数枚並んでいて、ボールが当たると板が下に引っ込みます。ドロップターゲットのひとまとまりを「バンク」と呼びます。「バンクのターゲットをすべて沈める」事、また他との組み合わせで役を揃えていくのが一般的です。 |
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スポットターゲット ドロップターゲットと似た役割を果たします。プラスティックで出来たターゲットが立っていて、こちらはボールが当たっても引っ込みません。 |
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ロールオーバー ボールがその上を通過することによりスイッチが入る仕組みです。レーンなどの途中に曲がった針金状のスイッチとして存在することが多いのですが、円形のライトの上に白い星形のプラスティックのボタンが乗っているものは、全方向から反応するためフィールドに直接ある場合もよく見かけます。ボールがこの上を通るとボタンが押されて役に影響を与えます。これはロールオーバースターと呼ばれます。 |
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バンパー 円柱形の柱にプラスティックの屋根が付いており、ボールが当たると円柱下部の鉄のパーツがコイルの力で上下してボールを弾きます。数個がグループで配置されている事が多く、そのゾーンにボールが入るとボールをバンパー同士で弾き合ってなかなか出てこない事もあります。マルチボールの際にボールがフリッパー付近に集中してターゲットが狙いにくくなった時などに、バンパーのゾーンにボールを放り込んで手元のボールの数を減らしてゆっくりターゲットを狙うという使い方もできます。この弾くバンパーはジェットバンパーと呼ばれて、弾かないバンパーと区別される場合もあります。バンパーは、ゲームによって絵や飾りが付いていたりしてパーツの中でもっとも華麗なパーツの1つです。電球が仕込んであってボールが当たると明滅する場合もあります。 |
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ランプ カタカナで書くとライトの事を意味していると勘違いしやすいのですが(英語の表記では「ramp」、明かりは「lamp」。ややこしいですね)、プレイフィールド上で立体交差している長い滑り台のようなレーンです。ランプレーンとも呼ばれます。一般的に役を取るために重要な役割を果たします。フリッパーの根元でボールをホールドし、ランプの入り口を慎重に狙います。フリッパーのどの位置にボールが来たら打ち出すかは、フリッパー周囲の絵を目安にすると便利です。ワイヤー製やプラスティック製のものがあります。 レーン こちらはプレイフィールド上にあるボールの通り道全体を指す言葉で、見かけはランプが高速道路、普通のレーンは一般道といったところでしょうか。(渋滞するわけではありませんが)プランジャーレーン、リターンレーン、アウトレーンなどと、いろいろな役に影響があるオービットレーンなどがあります。最近のピンボールは2層、3層構造になっているので、さまざまなパーツの下に隠れて、入り口、出口以外の途中はほとんど見えないものも多いです。 |
ゲームセンターで実機を見かけることも大分少なくなりましたが、実際に大きなマシンでプレイするのはコンピューターゲームとはまた違ったリアルな楽しみがあります。どこかで実機を見かけたら是非遊んでみてください。
ピンボールはプレイフィールドの不思議な装置がガシャガシャ動き、ちょっと風変わりなミュージックをバックに派手な電飾で台全体がキラキラ光りながら奇妙な効果音や時に爆音を轟かせ、とても賑やかで楽しいゲームです。
アメリカではピンボール台を売っているお店は同時にジュークボックスを扱っている事が多いのも納得です。 ピンボール台の前に立ったら、100円玉をコインスロットに入れましょう。コインスロットはキャビネット前面にあります。コインスロットは2つ以上付いていることが多いのですが、どちらのスロットでもかまいません。
次にスタートボタンを押します。スタートボタンはたいてい前面コインドアの左上についています。コインを入れると点滅をはじめるものが多いので、すぐ見つかると思います。
「ガション」という音とともにボールがプランジャーレーンに出てきます。
ボールが出てきたのを確認したら、キャビネットの右側に付いているプランジャーでボールを打ち出します。ノブの付いているものは引っ張って離すとバネの力でボールを打ち出します。(ボタン式のものはコイルの力でボールを打ち出します。) プレイフィールドには手前に向かって傾斜が付いていますので、ボールはあちこちの仕掛けで跳ねながら手前に転がり落ちてきます。
これをキャビネット左右のフリッパーボタンを押してフリッパーを動かし、上方に打ち返します。ボタンは手のひらをキャビネットに乗せて、延ばした人さし指や中指で押すのが一般的です。 ボールが一番手前のフリッパーの下(アウトホール)まで落ちてしまったら、1ボール終了です。
最近のマシンでは3個、古いものですと5個のボールを落とすと1ゲームが終了します。 ピンボールの操作に慣れてきたら、そろそろ役の獲得に挑戦してみましょう。たいてい台上面の左下に小さな紙のカードでルールが解説されています。ほんの一部しか書いてありませんが、一番重要な役が書いてあります。 「これこれを揃えるとこれこれの役がもらえます」といった書き方になっていますので、フリッパーを上手く操作して指定されたターゲットを狙ってください。
上手く役が揃うと、音楽が変ったり、イルミネーションが変ったりボールが一杯出てきたりします。 役が揃うと大量の得点が入ります。ピンボールを始めたばかりの時は台に表示されているハイスコアと自分のスコアとのあまりの違いにビックリするかもしれませんが、これは役を熟知してそれを狙って揃えているからなのです。
役を意識してプレイする様になるとピンボールの楽しみは倍増します。リプレイが取れる様になり(一定のスコアを超えると無料のゲームができます)、そしてついにはハイスコアにイニシャルをいれることができるようになることでしょう。
世の中にはすごいピンボールプレイヤーが存在します。神技*と呼べるような妙技をくり出し、彼らがプレイすると同じ台がまるで別のゲームになったかのようです。もしゲームセンターでそのような人を見かけたら、そのプレイをよく見て下さい。必ず貴方のプレイヤースキルがアップします。特に台の絶妙な揺らし方は必見です。
*神技の中には、絶妙なフリッパータッチや揺らしのテクニックなどの他に、手首を痛めたり台を痛めたりする危険性のあるものもあります。もしそのような技を見聞きする事があっても安易に真似する事は勧められません。そういった技は正式な大会では禁止されていますし、私が見せて頂いたのも個人の所有する台での特別なデモンストレーションでした。
フリッパー フリッパーは電磁石(コイル)の力によって動くようになっています。フリッパーボタンを押すと電流が流れて磁石の力で跳ね上がり、電流が切れるとバネの力で元の位置に戻るとても単純な仕掛けです。仕掛けは単純ですが、これを操作する多くのテクニックがあり、それを駆使することでターゲットを狙うのです。(フリッパーテクニックについてはテクニック編で解説しています。)
フリッパーが誕生したのは、1947年ゴットリーブ社のハンプティーダンプティーです。フリッパーの誕生によりピンボールは運ではなくテクニックを競うゲームになったと言われています。近頃では一台に使われるフリッパーの数は2~4個くらいが一般的ですが、ハンプティーダンプティーという台にはなんと6個のフリッパーがありました。
しかし、現在のようにフリッパーでターゲット狙うというものではなく、単にボールを落ちないように動かすという程度のものでした。現在のピンボールのフリッパーの位置に落ち着くのは1960年代以降です。
1ゲームいくら? 日本では1ゲーム100円が相場です。また200円連続で入れると3ゲーム遊べるものが一般的です。以前は少し古いモデルなどが50円で1ゲームといったものもありました。現在の米国では1ゲーム50セント、3ゲーム1ドルといった感じで日本より大分安い感じです。
ボールの数 ピンボールの1ゲームのボール数は一般的に3個または5個ですが、これの影響で後のテレビゲームが自機の数やライフの数に3や5を採用することが多くなったと言われています。以前は5個が普通でしたが、最近の台では3個が主流です。
ピンボールは運だめしではなく、テクニックを競うゲームです。ボールは物理の法則に従って盤面を転がります。プレイヤーは、プランジャーショット、フリッパー、ナッジング(盤面を揺する)の3つの方法でボールに影響をあたえることができます。これらのベーシックなテクニックをマスターすれば、ピンボールの魅力を存分に楽しむことができるでしょう。
ここに紹介するフリッパーテクニックは実機の上で頻繁に使用されている物です。リトルウイングピンボールシリーズではこれらテクニックのすべてを試すことが出来ます。ゲームセンターで上手な人を見かけたらそっと後ろから静かにゲームを覗いてみましょう。プレイヤーは気づいていないように見えても必ずバックグラスに映ったあなたの姿を見つけてさらに色々なスーパーテクニックを見せてくれるでしょう。ピンボールは見せるスポーツでもあるのです。
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ルールにスキルショット*がある場合にはそのターゲットを狙いますが、それ以外の場合でも、強く打ったり弱く打ったりゲームの状況に応じて使い分けましょう。例えばプランジャーレーンを出るギリギリの強さで打つと、思いのほか良いポジションにボールがやってくる台もあります。 *プランジャーの力加減で直接ターゲットを狙う役 |
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ピンボールのフリッパーは電磁石のON/OFFとバネの力だけで動いていて、ボタンを押す強さによってその強弱はコントロールできません。強弱をコントロールしたい場合には、クリックとよぶ素早いON/OFFなどで操作する必要があります。 したがって指に力を入れない様に、次の素早い反応ができる様に軽く押すと良いでしょう。といっても、ここ一番の局面では思わず力が入ったりシビレたりするものですが、そのコントロールもテクニックです。 |
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台を揺らさないプレイヤーをよく見かけますが、揺らす事は正当な操作でピンボール台は揺らされる事を前提にデザインされています。ちなみに台のそばに椅子が置いてある事がありますが、これは子供が踏み台に使ったり荷物置きの為と考えたほうが良いでしょう。座っていては素早く良いナッジングができませんからね! ナッジングはやりすぎると「TILT」と呼ばれるペナルティーになります。(キャビネットの中の振り子型のセンサーがある程度以上反応するとTILTになり、ゲーム中のボールがアウトホールに落ちるまでフリッパーが動かなくなり得点も入らなくなります。) そのためか、揺らしてはいけないという印象を持つ方もいらっしゃいますが、これはそうではなく、規定の範囲で揺らしなさいというルールなのです。 というわけで、現在のピンボールではTILTが発生する前に「WARNING」や「DANGER」と警告がでるようになっています。 なお、マシンに大きな衝撃を与えた場合は別のセンサーが働いてSLAM TILTとなりゲーム没収になりますが、これはキャビネットを蹴飛ばしたりしなければまず発生する事はありません。 |
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図1 Double Flip | 図2 この方が隙が小さい |
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図3 Deflect pass | 図4 Beat down |
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